未発表テイク VOL.10     W200.2


バード・ウイズ・ストリング、アポロ劇場 1950、完全版
バード・イン・フランス 1949 (PART 1)

収録曲

    CAHARLIE PARKER WITH STRINGS;

  1. REPETITION
  2. APRIL IN PARIS
  3. EASY TO LOVE
  4. WHAT IS THIS THING CALLED LOVE

        Partial time: 60:38
        six shows(3rd, 4th, 5th show released here for the first
         time),
        24 tracks (12 previously unreleased)

Apollo Theatre,NYC,August 22/23,1950. Charlie Parker(as);Tommy Mace(oboe);Teddy Blume, Sam Kaplan,Stan Karpenia(vln);Dave Uchite(viola); Billy Bundy(cello);Wallace McManus(harp); Billy Taylor(p),Tommy Potter(b);Roy Haynes(ds); Symphony Sid(m.c).

  1. SALT PEANUTS (3:37)
  2. BARBADOS (4:47)
  3. 52nd STREET THEME (3:25)
  4. OUT OF NOWHERE (4:50)
track 25 to 28=Salle Pleyel,Paris, May 8/9,1949. C. Parker Quintet;Kenny Dorham(tp); Charlie Parker(as);Al Haig(p);Tommy Potter(b); Max Roach(ds).

 ハーレムのランドマーク、アポロ劇場のバードはバーズ・アイズvol.10の音楽的ハイライトである。このエキサイティングな6つのショーは劇場の“グリーン・ルーム”でディーン・ベネディッティ・スタイルで(PAから)アル・ポーチノ(tp)が録音したオリジナル・テープである。
 バードはストリングとの共演を愛し、彼の最も幸福な時間はこの環境にいることだった。また彼はこの時、希な商業的成功の渦中に有った。
バードはジャズをアメリカ好みのスィング・ミュージックから大衆的アッピールを失わせた音楽であるところの、より複雑で深遠な形態のモダーン・ジャズに変えた。ストリングの概念は聴衆をミュージックに呼び戻す一つの試みだった。ストリングものは、パーカーのもう一つの側面、つまりスタンダード、ティン・パン・アレイもの、ミュージカル・ショーの曲、を愛するセンチメンタルでコーニーな面を示している。これは映画“バード”でも描写されている点である。パーカーは彼の音楽の全面的把握をもって殆どどんな曲でもアプローチでき、それをいかしたサウンドに出来たのである!
 パーカーは決してケルアックの小説にあるような、サン・グラス、ベレー、山羊ヒゲの類型的ヒップスターのようには振る舞わなかった。(ディジーは商業的にそう見せかけた)。パーカーはきちんと話すことができ、クラシック音楽への真摯な畏敬の念を持っていた。彼のロサンゼルスでのストラヴィンスキーとの会見、彼の“ラヴェルを超えてブローする”こと、彼のバルトークやシェーベルクのような作曲家についてのコンスタントな言明、は彼の音楽的意識を裏書するものである。
 パリから帰ってから、パーカーは特にヨーロッパ式音楽院での勉学に戻るのを希望したが、夢は現実とはならなかった。然し、我々の夢はこの優れたセッションのアルバムで実現した。私はバードの歌い上げにお連れするのである!
 6つのセッションは1950年8月22日から23日にかけてアポロ劇場で行なわれた。もともと5セッション分があったが、熱望されていた6番目が出現したのである。
 言われているように、バードはストリングとの共演を愛していたが、そのセッティングが終わった時、映画“バード”のオープニング・シーンにあるように、それはひっくり返ってしまった。
 最初から二つのセッションはシンフォニー・シッドが司会する。我々は又、演奏をテープ録音するアル・ポーチノとジミー・ネッパーの声を聞くことが出来る。
 “新しい”6番目のセッションは幾分議論の余地があるところだ。それはオリジナル・テープか少なくとも我々が受け取ったテープには現れない。セッション終わりの“イージー・トゥ・ラヴ”は別のMCである。これはアポロ以外のものだろう。このMCは誰なのか?アポロの司会者がこの曲だけアナウンスしているのか?注意深く聴くと、初めの聴衆はナイト・クラブでのように聞こえるのに気がつくだろう。とは言え、終わりの大きな拍手はよりアポロらしいし、コンサートでのようにも聞こえる。また、ストリング・セクションはこのセッションでは違うように感じるのである。これは違うマイクなのか、または本当にセッションが何処か別の場所でされたのに起因するのか?
 3番目と4番目のセッションは編集されたのが判る。それは彼等がテープを倹約したか、ただバードだけを聞きたかったなのか? どなたか、これについて決定的知識をお持ちの方はフィロロジー(VIA BARILATTI11,MACERATA,ITALY) までお寄せ下さい。
 それではミュージックをお楽しみあれ! ロバート・ブレグマン;チャーリー・パーカー・ディスコグラフィー 共著者
 ここにあるバード・イン・パリは日時順の最初の2曲です。2番目と最後のパートはフィロロジーW622.2 VOL.11で発売されています。
                              訳:小田 弘一

Photo 07
Lee Konitz, Charlie Parker (Stan Kenton's Band, 1953) by Paolo Piangiarelli

Photo 08
Roy Haynes, Charlie Parker (Showboat, Philadephia 1950) by Paolo Piangiarelli