【そのカタログ整理】
■参考資料
A; ザ・コンプリート・ダイアル・レコーディングス(東芝EMI 10CD Set)付属パンフレット(1995年)
B; JAZZ BY MAIL 1936-1958・Jazztone & Dial Records-Geoffrey Wheeler (1999年)
C; The Recordings of Charlie Parker A Discography - Edward M. Komara(1998年)
■ダイアル・カタログ
A; 78rpm First Edition
B; LP's First Edition
C; 78rpm Second Edition
D; include 78rpm Second Edition
■78rpm SP
ダイアル・レコードの78回転SPは、12インチは無く、10インチのみである。Contemporary American Music Series
"1000" Series(1946-1953)は、1001番から1058番まであり、唯一販売されなかったのは1053番である。ただ、ラッセルは再プレ
スあるいは再々プレスの時に、テイク違いの曲に変更したり、あるいはカップリング曲を別の曲に変えたりと、複雑きわまりない。
参考資料Aでは、57番号で81種、資料Bでは57番号で100種あるとしている。レーベル面上でテイク表示しているものは少なく、スタ
ンパーを見て判断するため、現物を手にしてからでなければ判断できません。しかも現在は入手が極めて難しく、特に最後期の
1050番台のプレス枚数が1,000枚程度のものは殆ど絶望的である。レーベル上の記載事項の違い(例えば、録音日時の表示がない
とか、メンバーの記載方法が違う・・・等など)を含めると57番号で116枚以上になる。
レーベル外周下部に
Tempo Music Shop
の記載が入っているものは1008番までである。1002〜1014番までは、番号表示とサイド表示が半角空き、ハイフンなしが初版
(例:1014 A)、
再プレスはハイフンが入ります(例:1014-A)。資料Bでは、1013番までとしている。1001番は、初版はスペース無しでの表示
(例:1001A)。
1015番以降はすべてハイフンが入り、初版、再版の違いは判断が困難である(シェラックかビニールの違いがあるものを除き)。
ブルー地に金文字のPopular Series、"750" Series は、751番から760番までで、757、758番はリリースされ
ず、8枚のみ発売された。これにはダイアル録音の他、フランスのブルースター録音も含まれている。(また、756番についても
その発売の事実はなさそうである。後にプレスティッジにリースされ、"Guilty" 1曲は
905番としてリリースされている。)
また、計画のみで発売されなかった1100、1200シリーズもあったようで、ピアニスト、ジーン・ジェルマンによ
って録音されたモダン・コンポーザー、ベラ・バルトークの曲、2枚が資料Bにリストアップされている。
"1101 Jean Germain Piano solo: Night Music -1 (Part.6756)/ Night Music -2(Part.6757)"
"1201 Jean Germain Piano solo: Suite for Piano Opus 14-1(part.6548)/14-2(part.6549)"
ダイアルSPのテスト盤も数多くオークション等で市場に出回っているが、資料Bでは6種リストアップされてい
る。しかしある高名なパーカー・コレクターの情報によると40種以上存在すると言われている。
リミテッド・エディション・コピーも2種存在したようであるが、直接販売か、小売店経由で売られたものか、あ
まりにも情報が少ないため明確ではない。
■78s SPアルバムセット
SPアルバムセットは、筆者は資料Aの発売の数年前までは、BEBOP JAZZ 1947 および BEBOP JAZZ 1948 の2種の
みとしておりましたが、1002から1005までの4枚をセットにしたものが販売されたようで、資料B、Cでもそれが事実であるとし
ている。ダイアル最初のアルバムというが、前者2種(D-1,D-2)のアルバムとは違っており、アルバム番号もないもので、タ
イトルは「Charlie Parker Septet with GABRIEL on Trumpet」となっている。1946年末の発売のようで、1946年11月4日号のダ
ウンビート誌19ページ、ダイアルのD-1の
告知広告の隣にある「
Record Rendezvous」(Cleveland,Ohio) の広告にはこのアルバムが記載されている。もちろんGabriel とはガレスピーのこと
で、これは極めて珍しく、筆者は写真でも見たことのないアルバムである。資料Bの編者の記述でも「見たことのないアルバム
で、情報はない。カタログ番号もないし、リリースに関するアナウンスも無いため、数量限定の販売だったのでは?」としている。
BEBOP JAZZ 1947(D-1)
収録されているSPは1006、1007、1008の3枚で、レーベルには番号の下に
D-1の表示がある。
BEBOP JAZZ 1948(D-2)
には1020、1021、1022の3枚で、これらにはD-2の表示はない。
D-1のアルバムに「1948」と「VOLUME TWO」を加刷したD-2もあり、他にも異なったヴァージョンのものもあるよ
うで、資料Bの編者によると黄色地で3種、ライトブルー地で2種を見たことがあるとしている。
ダイアルSPに使用されているロゴ・デザインは、テンポ・ミュージック・ショップの客だったWally Berman が
作成したが、このアルバム・デザインも彼が作成したものである。
■10インチLP
モダンジャズ・シリーズの200番シリーズは、1951年から201〜218番までリリースされるが、201番から203番および
207番がパーカー名義の色違い同一カバー・デザインによるもの。208の“ドド・マーマローサ”、210の“ウッドチョッパーズ”、
211の“ミスターサキソフォン”、212の“ディジー・ガレスピー”の4枚にそれぞれ1曲パーカーの演奏が収録されている。この
シリーズではダイアル原盤以外に他の原盤を買い入れて発売しており、206のアート・テイタムは、コメット原盤。211は一部ブル
ースター、メトロノームの原盤。213のテディ・ウイルソンはメルローズ原盤。214、215、216、218の4枚は、ブルースターの原盤
を使用したものである。
さらにヒストリカル・ジャズ・シリーズの300番シリーズは、301から306までの6枚発売されている。これらは全て
フランス・ヴォーグ原盤(303,306のアール・ハインズはロイアル・ジャズ〜ヴォーグ)を使用している。
ラッセルは1953年に、彼自身の手によってカリプソとフォーク・ミュージックを録音しており、400番台エスニック
・シリーズ8枚を、53年6月から11月までに発売している。資料Bでは、407番までの7枚の発売としている。筆者のコレクショ
ンも7枚で最後の408は所有していない。
■12インチLP
ジャズの331/3回転の12インチLPを発売した最初のレーベルがダイアルで、1949年6月メジャーに先駆けて販売さ
れた。ジャケットなしで、しかもメールオーダーによる500枚の限定販売だったというのが、DLP-1「THE BIRD BLOWS THE BLUES」
である。1949年6月3日号のダウンビート誌の
広告を参照ください。1994年12月初めのクローズで、あるメール・オークションに出されたこのLPは最低価格が3,500米
ドルだった。このブラック・ビニールによるDLP-1と同じレーベル・デザインで1952年に再発されたDial LP901には、ダーク・
レッド(黒に見えるが、光にかざすと赤く見える)と、クリアー・レッド(ファンタジー、パシフィック・レコード同様)の2
種類が存在する。901は1953年にはグレー地に赤のシールが貼られたお馴染みのデザインによって再々発売された。Dial 902は、
エロール・ガーナーの“By Gas light”は49〜50年にかけて発売された。44年ニューヨークに住むデンマークのタイミー・ロー
ゼンクランツ男爵が録音したもので、この時のセッションの一部は後に、ブルーノート・レーベルから発売されている。Dial 903
は、コメット・レーベルの録音を買収したものからパーカー参加の45年のレッド・ノーヴォ・セッション。コメットからの12イン
チSP2枚(マスターテイクの4曲)は47年発売、このLPは1952年に発売された。Dial 904と905は“Charlie Parker Alternate Masters Vol.1”
と“Vol.2”です。904は52年初頭、905は53年末から54年初めにリリースされている。905にはカマリロ病院からの退院を祝って開
催されたチャック・コープレー家でのホームパーティの演奏、“ホーム・クッキング”が収録されている。
ダイアル・レコードは、ジャズの録音を終了した48年から専ら現代音楽の録音を行っており、12インチLP
“Contemporary Classics Series”はベラ・バルトーク、アーノルド・シェーンベルグ、イゴール・ストラビンスキー、アルバ
ン・ベルグ、ジョン・ケージ等、筆者の調査では18種19枚の存在が判明している。
--続く--